酒造りに適した酒米ながら現在は農家でほとんど栽培されていない品種「レイホウ」の栽培を復活させようと、県酒造協同組合(本田雅晴理事長)は熊本農業法人酒米生産組合(園川茂組合長)と購入契約を結んだ。

  酒造組合によると、レイホウはタンパク質が少なく、粘り具合もほど良いのが特長で、高品質の酒ができるという。かつては九州を中心に生産され、酒造りの 主原料として長く重宝されてきたが、農家がヒノヒカリなど食味の良い品種の生産に転向したため、15年ほど前から生産量が減少。現在はほとんど生産され ず、酒造業者はレイホウに品質が似た「代替種」を県外から調達しているという。

 このため酒造組合は益城町などの農家グループにレイホウ栽培の協力を呼び掛けたところ、4月に「地場産業の振興につながるのなら」と農家4軒が酒米生産組合を設立し、本格的なレイホウの生産に着手。レイホウの種子を他県から取り寄せ、約25ヘクタールに作付けした。

 22日、熊本市城東町の県酒造会館であった調印式には、酒造組合と酒米生産組合の代表者ら約10人が出席。今秋に収穫する約2200(132トン)のレイホウを売買する調印書にサインし、来年度以降も協力していくことを確認した。


 酒造組は「地産地消の推進となり、酒の品質向上にもつながる」とメリットを強調。酒米生産組合も「希少となった品種を維持する社会的責任を果たす意味もある。米の生産調整が進む状況下で、農家の励みにもなる」と話している。

=2007/08/24付 西日本新聞朝刊=